農家のcafe&bar TRANSIT in 小川町

おがわさんぽをフォローしてくださっている皆様、こんにちは。おがわさんぽグルメレポーターの長倉正弥です。

第3回を数えます今回、小川町駅から徒歩10分の距離にあります「農家のcafe&bar TRANSIT」を取り上げさせて頂きたいと思います。

このお店は2017年の3月にオープンして、先月でちょうど2年になりました。オープン当初、流星のように突然姿を現したという気がしました。私の身の回りでも特に先進的な、新しいもの好きな人たちがオープンした瞬間からしばらくその話題で持ち切りとなっていました。それから2年間、TRANSITは常に斬新な話題を提供し続け、数多くのファンを獲得しています。私の中では小川町で最も先進的なことが行われている場所、それがTRANSITであると感じています。

大変分かりづらい場所にあるので、TRANSITにまだ行かれたことがない方、または全く知らないという方も多いかと思います。TRANSITとは、33歳の若き有機農家でもある田中慎太郎さんが店主を営むバーで、毎週金、土、日曜日の3日間のみ営業しています。月に一度の音楽イベントをはじめとして頻繁に開催される様々な楽しいイベントや、店主自ら育てた有機野菜たっぷりの美味しい週替わり食事メニュー、豊富なウイスキーやカクテルなどのお酒メニューなど魅力を言えばきりがありません。週末になるとこれらの魅力に魅了された多くの常連さんでいつも賑わっています。

店主の慎太郎さん自身が7色の顔を持つというのか、様々な側面を持っています。有機農家であり、バーの店主兼オーナーでありながら、常連さんと立ち上げたバンドT-RASHのメンバーとしてギタリスト・ボーカリストを務めるミュージシャンの側面、昨年ほぼ丸一年かけて自ら住む家を自分で建ててしまった大工としての側面、年末になると武蔵鶴酒造で働く蔵人(お酒造りの職人)としての側面、昨年からは小川町商工会青年部の一員としても活躍しており、火曜日のお昼には最近できたカレー屋さん「小川ぐらしの茄子おやじ」でアルバイトもしているという側面も持っています。

また個性としても単純でなく、彼と話しているとクールなようでいて奥底に熱いものを感じ、人を突き放すように感じる一方で包み込むような優しさも持っていて、世の中を斜に見る皮肉っぽい側面もあると同時に本当に真っすぐな純粋な一面があることにも気づかされます。

そんな彼が運営するこのTRANSITの魅力を一言で言い表すのは一ファンとして通っている私自身、振り返ってみるととても困難なことだと気がつきました。そこで、店主自身と常連さんにTRANSITの魅力とは何だと思うか、単刀直入に尋ねてみました。

店主、慎太郎さんの答えとは「雰囲気」とのことでした。お酒の種類や料理の味はもちろん、、自分で育てた有機野菜を使い、添加物を使わないメニューなど食の安心安全を含め気を使っているけど、実は一番の魅力はそこではなく、ここにくるとお客さんが居心地が良く、お客さん同士で話ができて楽しい、そんな雰囲気が一番の魅力だと思っているということです。

一人の常連さんは男衾に住んでおられ、東京に仕事で通っているという方でした。小川高校の出で、TRANSTは先輩に紹介してもらったそうですが、今では一人でちょこちょこ通っているそうです。彼がいうには「東京にバーはいくらでもあるけど、TRANSITのような店主や他のお客さんとの距離間の近さや居心地の良さが得られるバーは見たことがない」とのことでした。

そして、最近小川町に移住されてこられたもう一人の常連さんにお聞きした答えは「お客さんによって違うのではないか」とのことでした。人は誰もが見たいものを見ようとするけど、でもそんな様々な好みに幅広く応えようとしてくれている。そしてそのことによって常に変化し続けている、そんなところが魅力なのだと。

いかがでしょうか。魅力の一端が伝わったでしょうか。

さて、店主慎太郎さんが小川町に引っ越し、農家を営みはじめたのは今から約10年前のことだったということです。そしてTRANSITをオープンしたのが今から2年前。私にとっては突如流星の如く現れた不思議なバー。このお店がなぜできたのか、そのルーツを探るため、店主の経歴を尋ねてみたところ、驚くべき人生のストーリーが浮かび上がってきました。

店主の生まれ故郷は兵庫県神戸市。ご両親は勤め人でしたが祖母が魚屋を営み、幼い頃からその手伝いをするなど商売に触れる機会が多く、中学の頃には既に自分の店を開くという決意を固めていたということです。また、子供の頃から人をもてなすのが好きで、普段から良く友達を自宅に招いて料理を振る舞うなど行なっていたそうです。子供の頃からやりたいと思うことが決まっていたというのは幸運だったと彼は語ります。

高校を出て調理学校を出てしばらく神戸のレストランで働いておりましたが、20歳のあるとき、レストランで働く四国出身の先輩が冗談で言っていた「お前は反省のためにお遍路へ行ってこい」という言葉を聞いて「それも面白いな」と、実際に四国お遍路88か所を徒歩でめぐってみようと思い立ち、そのままお遍路の旅に出ました。

そしてそのお遍路の中で、とある偶然出会った2人の方がいずれもインドに行った経験があり、インド旅行を勧めてくれました。そこからインドへの縁を感じた店主はすぐさまお遍路の後でインドへ旅に出る決意をしました。以前から親しくしていた地元の師匠的な人から「一度は貧しい国を見てくるべき」という言葉もその決断を後押ししたとのことです。

このインド旅行の体験は大きく彼の意識を変え、その後の彼の人生を大きく運命づけるきっかけになったということです。このインド旅行の中で、またとある縁から彼は「将来インドで農業をやる」という決意をするに至ったと言います。

それから帰国し、農業をやるための準備を色々と整えていく中で池袋で行われた農業人フェアーという展示会に行った際、小川町の有機農家「風の丘ファーム」の田下三枝子さんと出会い、研修の説明を受けました。それからすぐに風の丘ファームの研修生として住み込みで1年間の研修を行ない、そのまま小川に住み着いて10年間有機農家として暮らし、今に至るということです。

実は慎太郎さんは当初から何故か埼玉に縁を感じ、埼玉が気になっていたそうです。農業人フェアーは池袋と大阪の2か所で開催されており、当時神戸に住んでいた店主は大阪の方が近かったのですが、あえて遠い方の池袋を選んだのはそこに埼玉の農家が出展していたからだということです。

TRANSITで企画されるイベントやTRANSITに行ったときに聞く耳新しい話は、私にとっていつも新鮮で突然現れたような感覚があります。ですが、店主の話では本当はずっと温めてきたことなんですよ、とのことでした。お店を開くことだって、本当は中学の頃から開きたいという気持ちがあって料理やお酒やイベントなども、ずっとアイデアが浮かぶたびにそれを書き溜めてきたものを少しずつ出しているだけなんですと。だから突然の思い付きではないのですよと。

彼の企画する多くの出来事が常に新鮮な驚きを感じさせてくれるのは、彼の頭の中でずっと練られてきたそれらのアイデアが常に常識に縛られない自由な発想から生まれているためではないかと思います。それは農家をやりながら同時にバーをやってしまうことも、殆どプロの力を借りずに自力で家を建ててしまうことも、そして小川町に家まで建てたにも関わらずゆくゆくはやはりインドで農業をやりたいと未だに本気で思い続けていることも全て。

一筋縄ではいかないミステリアスの個性の持ち主の田中慎太郎さんですが、その根底には常に目の前の人を楽しませようとするエンターティナーの精神を感じます。TRANSITの魅力、それは飲食店という枠に収まらず、田中慎太郎さんの「個性」や「生き方」そのものからくる魅力と言えるのではないでしょうか。

【お店情報】
所在地:比企郡小川町大字大塚28番地
電話:080-2523-0022
営業時間:18時~22時(ただし、予約かオーダーがある限り延長あり)
定休日:月~木
アクセス:小川町駅から徒歩6分

最後に、以下は店主から次回5月25日のコンサートイベント「チェロとピアノは庭先で」のお知らせです。
素敵な企画ですので、お時間とご興味のある方はぜひご参加ください!

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「チェロとピアノは庭先で」

お庭で散歩していたらチェロとピアノの音色が聞こえてきて珈琲が美味しく感じられる。
そんなイメージで企画させていただきました。

演目例:
メンデルスゾーン「歌の翼に」
アイルランド民謡「ダニーボイ」
サン=サーンス「白鳥」
ラフマニノフ「ヴォカリース」
ショパン「序奏と華麗なるポロネーズ」
ダグラス&ワイス「この素晴らしき世界」
モリコーネ「ニュー・シネマ・パラダイス」メドレー
ロイド・ウェバー『キャッツ』より「メモリー」
中島みゆき「麦の唄」
ピアソラ「リベルタンゴ」

庭の部
15時半から会場、トランジット店内と裏のお庭を自由に行き来してリハーサルの演奏を聞くことができます。飲み物やデザートをその場で楽しむことが出来ます。
入場料1000円

夜の部
19時より開演
休憩ありの21時迄
2000円

両方参加のかたはお得な2500円

ご予約いただけますと幸いです。
イベントページ(https://www.facebook.com/events/308401476446750/)の参加ボタンで予約ととらせていただきます。他お電話やどのような連絡でも結構です。お待ちしております。

ピアノを弾いて下さるのは、川村紀子さん 北海道ご出身でウィーン国立音楽大学のピアノ科、室内楽科を満場一致の首席でご卒業。ロンドン国際音楽コンクールで最高位、他多数の輝かしい受賞歴をお持ちです。NHK番組にもご出演。

そしてチェロを演奏してくださるのは
我らが大塚幸穂さん(おおつか さちほ)1974年 カナダ生まれ、アメリカ育ち、7歳よりチェロを始める。バーモント・フィルハーモニック・コンクールを入賞、オバーリン音楽院&大学に入学、首席で卒業。オーケストラの他、ソロの実績も積みあげ、みなとみらい大ホールでリベルタンゴを演奏、BSテレビで放送。ヤマノミュージックサロン池袋のチェロ&弦楽四重奏講師を務める。2008年 自然を求めて埼玉県小川町へ移住。東京の活動を続けながら地元でチェロ教室を開く。自然体な演奏と親しみやすいトークで人気を集める。公式サイト:http://www.timberringmusic.com

1 thought on “農家のcafe&bar TRANSIT in 小川町

  1. 北谷 隆泰 返信する

    6/13 玉成舎の黒磯さんにお会いしました。当日は池袋9時発の急行で初めて小川町へ
    武蔵ワイナリーの福島さんに会いたくて3人で。お話を聞き.ぶどう畑で、新芽、可愛いぶどうの房にも。
    やはり無農薬栽培はいいですね。お昼からワインを飲んで夕方玉成舎で武蔵鶴の純米酒を。
    移住者が増えている話を聞いてこちらを教えてもらいました。来月には営業日に伺いますので
    よろしくお願いします
       杉並区阿佐谷南  浜松市出身

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