家具スタジオ「木の香」

非日常に遊ぶ、隠れ家ギャラリー

小川町駅から徒歩約12分。緑なす山を眺めながら小さな坂道をたどっていくと、住宅街の中にそのお店は現れる。初訪問のほとんどの方がたいてい道に迷うちょっと分かりにくい場所にあるが、隠れ家的なそのたたずまいに、たどり着いたときは宝物を見つけたような嬉しい気分になれる。
道の途中で現れる、木の香への案内看板と駐車場
この看板を見落とさないように!
店の玄関。 思わず「ただいま〜」と言いたくなる
お邪魔したこの日は「夏を迎える前に」という企画展開催中だったが、例年よりもかなり早い梅雨明け宣言が出されてすでに夏本番の猛暑。店内にエアコンはないが、廊下を通り抜ける風が心地よく、思ったよりも涼しかった。室内は空き家だった古民家を店主の助川さんがみずからこつこつとリフォームしたとのこと。12畳ほどのこぢんまりしたスペースに、動物や草花をモチーフにした蚊遣りや鉢受け、食器類がセンス良く並ぶ。

 

企画展のギャラリーは玄関を上がって左奥の部屋
見ているだけでホッとする品が並ぶ
もともとは、助川さんが以前勤めていた家具問屋の支店としてこの店は始まった。そのため店名が「家具スタジオ」となっているが、現在はその勤め先を退職してギャラリーとしてのみ営業している。氣に入った作品を見つけると、その作家の作品展に出向いて再び感触を確かめ、さらに作家と直に会ってその人となりを見極めてから展示の依頼をするという。作品は、陶磁器や木工、織物や布物、竹細工などで、食器やオブジェ、洋服、雑貨の小物が中心となる。いずれも、普段の生活に優しい彩りを添える上質な品ばかりだ。
かつての日本には、このような「本物」しかなかった。本物のみに宿る「生命」を私たち日本人は無意識に感じ取り、それゆえにモノを大切に扱ってきたのだ。
昨今は使い捨てのものばかりが増え、「とりあえず」100円ショップで買い求め、壊れたら未練もなく捨ててまた安くて簡便なものを買う。
「木の香」で扱われるモノたちは、そんな生活に慣れてしまった私たちからすると確かに高価だ。なくても決して生活には困らない。
けれど、日常とともに在り、目に触れあるいは手にするそのたびに、必ずそのモノたちは私たちに安らぎをくれる。それは、けっしてお金には換算できないのだ。
そしてまた、「木の香」という空間自体もそうなのだと、訪れるたびに感じることができる。
そこには、簡素ながらも優しく穏やかな氣が満ちており、作品たちに込めた作家の想いやそれに応じた店主の愛情が相まって、異次元の世界に訪れたような不思議にゆったりとした時間が流れている。
ひとやすみ、ひとやすみ・・・
玄関から右側は、常設のインドネシア雑貨「ぶんぶん堂」が取り扱う作品が並ぶ
木彫りのお座り人形は「ぶんぶん堂」の人気アイテム。 全国に多くのファンがいるという
飄々とした助川さんとの会話を楽しんでいると、いつの間にか数時間が過ぎていたということもしばしば。その非日常もまた、この店の売りなのだと思う。日常では手に入れることのできないモノを求める方は、ぜひ訪れて欲しい素敵な場所である。
けれど、ひとつご忠告。長居しすぎて、異次元で迷子にならないように・・・。
【文/写真:あや】
※情報は2018年7月1日現在のものです。
ギャラリー情報はFacebookページをご覧いただくか、直接店舗にお問合せください。
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●アクセス
埼玉県比企郡小川町大字角山216-1
JR/東武東上線:小川町駅より徒歩約10分
(小川町駅から約600m)
●定休日:木曜日
●お問い合わせ:0493-74-6588